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コロナ禍で苦しむ企業を支えた「ゼロゼロ融資」とは
2020年に新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で、資金繰りが悪化した個人事業主や中小企業に対して実質無利子・無担保で融資を受けることができる制度が「ゼロゼロ融資」です。
利子は各都道府県が負担し、焦げ付きリスクは信用保証協会が担当することで、各事業主が資金調達をしやすくなり、倒産を免れたというケースも多くありました。
しかしながら、一度は倒産を免れた企業であっても、想定以上のコロナの影響や物価高が追い打ちをかけ、経営状態を好転できていないという場合も多くあり問題視されています。
本格的に始まったゼロゼロ融資の返済
経営状況が回復していない状況でのゼロゼロ融資の返済は企業に大きくのしかかります。
ゼロゼロ融資の申し込み受付は、政府系金融機関で2020年3月から、民間金融機関で2020年5月から開始され、2022年9月30日で終了となりました。
返済開始まで延長できる据置期間は最長5年となっており、利払いも実質3年間は免除となります。したがって、申し込み時期によりますが、3年の実質無利子期間が終了となる2023年3月以降は返済を開始する事業者も増えてきて、資金繰りが思うようにいかずに返済が追い付かないという場合も出てくるでしょう。
免除や返済猶予期間の延長は可能か
そこでカギとなるのが、ゼロゼロ融資の返済免除や返済猶予期間の延長が可能か否かという点です。結論から言うと、政府系、民間金融機関関わらず据置期間の延長を相談することは可能です。
国からも資金繰りが困難な企業に対して、返済の猶予期間の延長や条件変更、借り換えなどといった企業の状況に応じた積極的な支援をとるようにとの要請が出ています。
この政府要請に基づき延長の検討ができないかどうかを訴えてみましょう。
個々人で主張をするよりも、政府からの要請に基づくという根拠がバックにあるだけでぐっと説得力があり主張しやすくなります。
とはいえ、あくまでも国からの発信は命令ではなく要請です。そのため、一方的に押し付けるような主張をしても自分の意図意とした結果に結びつかなくなるかもしれません。
その一例が、条件変更による据置期間の延長です。条件変更は、融資を受けた借入金の返済が難しくなった場合に、返済計画を見直すリスケジュールのことで、国からの要請の中の一つに挙げられています。
一見、事業者側にとって一時的に返済が猶予又は減額されるということで、都合の良いものに見えるかもしれません。しかしながら、条件変更をおこなうことで、金融機関による評価が下がり新規借り入れが難しくなってしまうというリスクが生じます。
したがって、返済猶予期間の延長を申し出るときには、あらかじめ自分が求める延長の方法や内容をしっかりと把握し相手に正しく伝えられるように整えたうえで臨むのが必須です。
もし支払いを忘れてしまったらどうなる?
ゼロゼロ融資の支払いを忘れてしまった場合、すなわち踏み倒した場合にはいくつかのリスクの発生が起こり得ます。
1,支払督促
まずはじめは、支払いをおこなうように電話や郵便で督促が来ます。
1度の督促で支払いをおこなわなければ、その後も複数回受けることとなり、回数を重ねるごとにその内容は厳しいものになっていきます。
それにも応じないようであれば、債権者の申し出により裁判所が債務者に支払いを督促するという手続きである支払督促がおこなわれます。
2,代位弁済
支払いの滞りがしばらくの間続くようなことがあれば、信用保証協会により代位弁済がおこなわれます。
これにより債務者の返済義務がなくなるということではありません。
信用保証協会が肩代わりしてくれた分を今度は信用保証協会に返済しておく必要が出てきます。
ここで注意すべきなのが代位弁済がおこなわれたのちの信用保証協会への返済は、一括でおこなわなければならないという点です。
これまでのように毎月一定額の返済ではなく、一括でまとめて返済が求められるので債務者に負担がより大きくのしかかります。
3,訴訟
信用保証協会への支払いができない場合には、訴訟を起こされることとなります。裁判に出頭するように求められ、陽性に応じたとしても、仮に要請を無視したとしても支払がないという事実に基づき、債権者である信用保証協会の主張が認められ、債権者勝訴の判決が下ることになります。
4,差し押さえ
裁判で債務者の敗訴が決定したのちには、財産が差し押さえられる可能性があります。
具体的には、預金口座、持ち家、給与といったお金に関するものを国が押さえることで財産
の権利や処分を禁止するというものです。また、差し押さえをされると、信用情報に傷がついてしまうことから、新たな借り入れをすることが難しくなるというリスクもあります。
返済ができない場合はどうしたらいいのか
それでは、返済ができないとなった場合にはどのような対処をとるのが良いのでしょうか?
1,民事再生
裁判所の許可のもとで再生計画を構築し、計画に沿って債務を返済していくというものです。民事再生では、債務の一部を免除されることになるため会社再建を目指しやすくなるというのもメリットです。
2,特定調停
裁判所を介しておこなう、債務整理の方法の一種です。裁判所が仲介役として債務者と債権者の債務に関する利害関係の調整を測ります。
取引先に事業再生を行っていることを知られることなく進められるというのがメリットです。
3,会社更生
会社の事業再建を目的としておこなわれる裁判手続きです。企業が事業を続けながらも借金の整理を行い会社の再建を図っていくことを目的としています。民事再生は個人が利用することも可能ですが、会社更生の場合は(株)のみが対象となります。
4,法人破産
裁判所を介して、債務者の財産を処分し、債権者に配当することで会社の生産を行う手続きです。債権の取り立てから解放され、リスタートを切ることができます。
5,特別清算
債務超過の法人を清算して、会社自体を消滅させるという手続きです。
手続きは、生産株式会社が主導でおこなわれるために迅速かつ簡易的に進めることが可能です。
返済が困難な場合は早めに相談を
返済が困難となった場合には、放置しておくと状況は悪化の一途を辿ることになります。早い段階で、まずはお金を借りた金融機関に相談しましょう。
自社だけで解決しようとするよりも、幅広い視野でのアドバイスが聞けること、また対処方法を提案してもらえる可能性があります。
返済の滞りを放置し、踏み倒したとしても良いことは一つもありません。
早め早めの対処が状況を良い方向に導いてくれることでしょう。
まとめ
以上、コロナ禍において多くの企業を救ったゼロゼロ融資についてご紹介してきましたがいかがだったでしょうか?
ゼロゼロ融資を利用したものの返済が難しい状況になってしまった場合の対処方法や、返済が滞ってしまうとどうなるのかについて具体的なお話してきましたがご理解いただけたでしょうか?
ゼロゼロ融資の開始時期からすると、2023年夏以降返済が本格化してくる企業も多いはずです。実際に返済が困難だという企業も多く出てくるでしょう。
資金繰りに困っていたり、返済の見通しがつかないという場合は早目の対処が急務です。目を背けることなく、しっかりと向き合い誠実な対応をとりましょう。