マーケティングで最も重要なのはターゲティングです。
しかし、
- 実際にどのようにターゲットを決めていけばよいのか
- そもそもターゲティングとは何なのか
と疑問に思っている方は少なくはないでしょう。
そこで本記事では、ターゲティングの意味や具体的なターゲティング戦略について解説していきます。
ターゲティングを失敗させてしまう危険な勘違いについても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ターゲティングとは資源を集中させる市場を決めること
ターゲティングでは、自社の持つ限られた資源をどの市場に集中させるべきか決定する作業を行います。
そうすることで、消費者と自社が得る双方の利益を最大化させるのが目的です。
市場を限定しないままでは、全ての消費者を相手にする必要が出てきてしまいます。
しかし、自社だけで全てのニーズを満たすような商品を開発し、さらに世の中全員にその商品を知らしめることはまず100%不可能でしょう。
一企業が自社の利益を追求するためには、まず限られた資源を1点に集中させる必要があります。
そのためにターゲティングを行い、ターゲットなら必ず購入してくれるであろう商品やサービスの開発に力を注ぐべきなのです。
新規顧客を開拓するための4つの方法と具体的な営業戦略を解説マーケティングにおけるターゲティングの流れ
ビジネスを成功させるために行うターゲティングは、「STP分析」の流れに沿って行われます。
STP分析というフレームワークはマーケティング論者のフィリップ・コトラーが提唱したもので、ユーザー目線で自社の立ち位置を決定するためには欠かせないものです。
STP分析は、以下の3つのステップで進められます。
Segmentation:セグメンテーションで細分化
セグメンテーションではまず消費者を細分化し、市場セグメントの種類がどのくらい存在するのか把握する作業が行われます。
この作業は、ターゲット市場を限定し、マーケティング戦略を立てるためには必要不可欠な作業です。
セグメンテーションのために、消費者は性別や年齢、居住地、勤務地域、趣味、ライフスタイルなどによって細かく細分化されます。
ここでなるべく細かくセグメント化することで、後のマーケティング戦略の成功率が大きく向上してくるのです。
Targeting:ターゲティングで明確化
細分化された市場セグメントの中から、自社がターゲットとする市場を決定します。
セグメントを評価し、自社製品を必要としてくれそうなターゲットがどの市場にいるのかを明確にするのです。
ターゲットを決める時には、比較的大きな市場に目を奪われてしまいがちですが、そのような市場にはすでに競合他社が多く存在している可能性が高いでしょう。
Positioning:ポジショニングで役割づくり
ターゲットとする市場が決まったら、その市場の中で自社がどのような立ち位置を狙っていくべきなのか考えます。
競合他社を分析し、どの企業もまだ確立できていないようなスキマのポジションを狙うと良いでしょう。
誤解されることが多いのですが、実はポジショニングは他社との差別化を行う作業ではありません。
ターゲティングが失敗に終わる危険な勘違い3つ
ターゲティングを行う時には、以下のような勘違いをしてしまいがちです。
- 性別と年齢だけでセグメント化すれば良い
- 幅広くターゲットを設定するべき
- ターゲットを絞ると売上が減る
このような勘違いはチーム全体の方向性を狂わせ、マーケティング戦略の全てを台無しにしてしまう恐れがあるため注意しなくてはなりません。
1.性別と年齢だけでセグメント化すれば良い
セグメンテーションを行う時に、性別と年齢だけで分類すれば良いと考えてしまう勘違いです。
セグメント化は非常に根気のいる作業なので、どうしても時間がかかります。
そのため、作業の効率化を図るために、なるべく分類する項目を少なくした方が良いと感じてしまうのが原因です。
しかし、性別と年齢だけで市場を分類しても、十分なターゲティングは行えません。
2.幅広くターゲットを設定するべき
ターゲティングを行う時に、なるべく多く需要を獲得したいと考えてターゲットを幅広く設定してしまう場合があります。
しかし、ターゲティングは市場を限定することではじめて効果を発揮するものです。
狙うべき市場が多くなるほど戦略は複雑化してしまい、商品の開発やマーケティングがより困難になってしまうでしょう。
見込み客と潜在顧客の見分け方とは?見込み客へのアプローチ方法も解説3.ターゲットを絞ると売上が減る
マーケティング担当者の「ターゲットを絞ると売上が減るのでは?」という恐怖心も勘違いの元となります。
ターゲットを限定させることで、獲得できる消費者を自ら減らしているのではと疑ってしまうのです。
しかし、ターゲットを絞り込むことでマーケティングが成功しやすくなり、売上が向上することはあらゆる経営理論で証明されています。
ターゲティングを戦略に取り入れるのであれば、まずは理論を信じて行動するべきです。
でないと、方向性がぶれてしまい、戦略の効果が得られにくくなってしまうでしょう。
営業がうまくいかないときの3つの典型的な思考パターンと4つの解決策ターゲティングの具体的な戦略
ターゲットをどのような基準に従って限定していくべきなのか解説します。
ターゲティングの具体的な戦略を知り、実際のマーケティングに活かしましょう。
①Realistic Scale(市場規模)
市場の大きさは、大きければ良いというものでも、小さければ良いというものでもありません。
市場が大きければ多くの消費者が流れ込んできますが、参入してくる企業も多くなるためポジショニングが困難になりがちです。
反対に小さい市場を選んだ場合はライバル企業が少なくなる代わりに、流れ込んでくる消費者も少なくなる傾向があります。
②Rate of Growth(成長性)
今後その市場がどのくらい大きくなる可能性があるのかを考えてみましょう。
現時点ですでに巨大な市場となっている場合は、今後の成長はあまり見込めず、反対に衰退していく可能性が高くなります。
逆に、今は小さな市場でも、認知が広がれば爆発的に大きくなる市場もたくさん存在しているのです。
③Ripple Effect(波及効果)
市場を限定する時は、インフルエンサーなどが情報を広めてくれる可能性があるかどうかも考えましょう。
SNSやメディアによって情報が拡散されやすくなった今、インフルエンサーのようなネット上で口コミを広げてくれる存在は必須です。
インフルエンサーは人々が話題にしないような市場には目もくれません。
消費者の関心や優先度が高い市場の方が、高い波及効果を期待できます。
④Reach(到達可能性)
自社の商品やサービスを実際にターゲットへ届けられるかどうかも重要なポイントです。
東京に住むOLをターゲットに設定しているにもかかわらず、大阪に店舗を開いたとしてもターゲットは簡単にはお店に到達できません。
また、五つ子市場のようにそもそもターゲットが少なく地域を限定できないような市場も、到達可能性は低くなります。
⑤Rival(競合状況)
ライバル企業がすでに多く参入しているレッドオーシャンはなるべく避けた方が良いでしょう。
あまり多くの企業に見つかっておらず、自社の入り込む余地のあるブルーオーシャンを探し出す方が売上が見込めます。
競合他社が少ない市場は、消費者にとっても魅力が低い市場である場合が多いので注意しましょう。
⑥Response(測定可能性)
市場で実際にマーケティングを開始した後、どれほどの効果があったのか測定できなくては意味がありません。
広告を出したり、ランディングページを作成したりした場合、その効果を数値化して測定できるようにしておく必要があるのです。
効果を測定することで、自社の戦略の成果を具体的に知ることができ、PDCAサイクルをスムーズに回していけるようになるでしょう。
ターゲティングはコストを下げ利益を増やすための手段である
自社の利益を増やすためには、売上を上げることだけではなく、コストを削減することも重要です。
ターゲティングで市場を限定すると、取るべき戦略や作るべき商品が明確になり、無駄なコストを最大限に省くことができます。
コストを抑えつつ利益を上げるには、適切なターゲティングが欠かせません。
マーケティングの初期段階であるターゲティングに力を入れることで、その後の戦略がスムーズに進んでいくでしょう。