マーケティングの成果が出てきて、上手く顧客を集められるようになってきた企業でも、営業力不足だと売上に繋がりづらくなってしまいます。
新規見込み客が多ければ、おのずと売上も増えるものだと思っていた企業は、驚いてしまうかもしれません。
「営業力を鍛えたい」
「今の組織に何が足りないのか知りたい」
そんな向上心の高い方に、ぜひ紹介したいのが「セールスイネーブルメント」という取り組みです。
本記事では、セールスイネーブルメントについて分かりやすく説明しつつ、組織全体でセールスイネーブルメントを成功させる秘訣をお伝えします。
営業力を構成する5つの必要スキルと営業力を向上させる具体的な方法目次
セールスイネーブルメントは営業組織を強化するための考え方
セールスイネーブルメントとは、営業部だけではなく、会社組織全体で営業力を強化していこうとする取り組みのことを指しています。
従来は、商品の開発は企画や開発部が、顧客の呼び込みや獲得はマーケティング部、見込み客への売り込みは営業部がそれぞれ担当していました。
しかし、セールスイネーブルメントの考え方は従来とは異なっています。
つまりは、部署ごとに業務を完璧に分けて各部を孤立させるのではなく、組織全体として協力し合いながら事業全体の見通しを良くする必要があると訴えているのです。
新規顧客を開拓するための4つの方法と具体的な営業戦略を解説セールスイネーブルメントで得られる3つの効果
セールスイネーブルメントを実行することで、様々な問題を改善するための施策をトータルに設計することが可能となります。
セールスイネーブルメントを導入することで見込める具体的な効果は、以下の3つです。
- 営業活動の効率化
- 営業力全体の底上げ
- 営業ノウハウの属人化解消
各効果の内容については、以下で詳しく解説します。
1.営業活動の効率化
セールスイネーブルメントでは、今までの営業活動で生じた顧客情報や商談の履歴などをツールで管理することになります。
新たな情報も全てデータで管理できるようになるため、時間の短縮ができ、効率的に業務を進められるようになるのです。
新規顧客を開拓するための4つの方法と具体的な営業戦略を解説2.営業力全体の底上げ
顧客情報だけではなく、営業のプロセスや新人教育の内容なども細かくデータ化されるのがセールスイネーブルメントの特徴です。
データをみれば、どのような施策が効果的に働いているのか一目で分かるようになっています。
貯めたデータを頻繁に見直し、あまり効果の出ていない取組みを改善したり取り止めたりすることで、組織全体の営業力の底上げすることが可能です。
フレームワークとは?新規事業の営業戦略で役立つビジネスフレームワーク5選!3.営業ノウハウの属人化解消
セールスイネーブルメントによって営業活動をデータ化することで、営業活動の属人化を解消することができます。
営業スキルというのは、人によって偏りがあるのが普通です。
自分なりのノウハウを見出す能力が高い営業マンは、トップセールスマンになることができます。
しかし、それではどうしても営業活動が属人化してしまい、営業マンの成績に大きな差が生じてしまうのです。
ですが、トップセールスマンのノウハウをデータに落とし込むことで、チーム全体でノウハウを共有できるようになります。
さらには、共有されたデータを元にOJTのプログラムを組めば、経験のない新人でも比較的簡単にプロ並みのノウハウを習得することができるのです。
できる営業マンに共通する3つの特徴|必要な行動&テクニックも解説セールスイネーブルメントを成功させるためのポイント
セールスイネーブルメントを始めたばかりの頃は、どうしても上手くいかず、効果が実感できない場合もあるかもしれません。
そのような時は、以下の4つのポイントに着目しながらセールスイネーブルメントを行ってみましょう。
以下ポイントさえ押さえることができれば、効果を最大限に引き出すことができるはずです。
1.セールスイネーブルメントの特徴を理解する
セールスイネーブルメントは、まずは「測定可能」状態が完成した後に、「全体設計」に持ち込むことができるようになるという特徴を持っています。
「測定可能」状態とは、情報を管理する単位が定まっていて、そのデータがしっかりと管理されている状態のことです。
「全体設計」とは、部署ごとではなく会社全体でどのように売上を向上していくのかを集めたデータを元に設計していく過程を指します。
2.SFA/CRM/MAの導入とデータの蓄積
各部署や各従業員が持つ細かなデータを計測可能な状態にするためには、全てをデータに落とし込む必要があります。
たとえば、獲得した見込み客の成熟度合いを可視化するためのMAや、顧客との商談内容を管理するためのCRMなどは導入必須のツールです。
また、セールスイネーブルメントを成功させるには、導入するだけではなく、ツールを組織全体で使いこなす必要もあります。
3.施策毎に貢献度を測定する
セールスイネーブルメントは、トライアンドエラーが前提です。
新しい施策をはじめた後や施策の見直しを行った後は、必ずデータを集計し、その貢献度を測定します。
貢献度が低い施策を改善していくのも手ですが、より効果を高めたいのなら、貢献度の高い施策の強化を最優先で行うのが良いでしょう。
売上を上げる方法は?BtoC向けとBtoB向けの具体的な売上を伸ばす施策4.セールスイネーブルメント専門のチームを作る
セールスイネーブルメントを成功させるには、組織全体を見渡して、調整していく役目の部署も必要となってくるでしょう。
各部署の管理役が代行しても良いのですが、それだと業務過多となり残業のリスクが増えてしまいます。
セールスイネーブルメントチームを別途に立ち上げた方が、より効率的に各部署の連携が取れるようになるでしょう。
セールスイネーブルメントは会社全体の組織力を高めてくれる
企業というものは、どうしても部署ごとに業務が分かれているため、各部のソロプレイになりがちです。
しかし、どの部署も「売上を向上させ、企業を成長させる」という同じ目標を掲げて仕事をしています。
それならば、全員のデータを集め、それぞれが持つ武器の良さや使い方を共有した方が、より効果的な施策を考え出せるはずです。
営業力の弱さが問題視されている現在のビジネス業界を生き抜くためにセールスイネーブルメントを取り入れ、営業力のみならず組織力全体を総合的に底上げしていきましょう。