ペルソナマーケティングという言葉は、ビジネスマンなら一度は耳にしたことがある言葉かもしれません。
今や「ペルソナ」は、チームでマーケティングを行う上で欠かせないものとなってきています。
しかし、ペルソナという言葉を聞いたことがあるだけで、マーケティングで実際にどのようにペルソナを活かせるのかイマイチ理解できていないという方も実は多くいるのです。
そこで本記事では、ペルソナマーケティングとはどのようなものなのかや、具体的な効果、設定方法などについて解説していきます。
目次
ペルソナマーケティングの概要
ペルソナとはもともとラテン語の「persona」のことで、マーケテイングにおいては「自社の商品やサービスを購入してくれる可能性の高い具体的なユーザー像」のことを指します。
ペルソナは具体的であればあるほど、大きなマーケティング効果を発揮するものです。
そのため、ペルソナを作成する時は「年齢・性別」のみならず「職場・価値観・趣味・結婚・家族構成・ライフスタイル」まで設定し、あたかも実在する人物かのようなに具体的に作り出す必要があります。
このペルソナという人物像を使ってマーケティングを行うのが、ペルソナマーケティングです。
ペルソナマーケティングは主に
- 新しいサービスや商品を開発する時
- すでにある商品を改良する時
などに高い効果を発揮するマーケティング手法の一つとして知られています。
ペルソナとターゲットの違い
ペルソナもターゲットも、自社の商品を必要としてくれるユーザー像を絞り込むためのものなので、一見同じもののように見えます。
しかし、ペルソナとターゲットとでは、どれだけ細かく人物像を絞り込むかという点に実は違いがあるのです。
ターゲットの場合は「10代~20代、女性、OL」ぐらいまでしか人物像を絞り込みません。
一方、ペルソナの場合は「25歳、女性、OL、大手町の印刷会社勤務、家族と同居、10代の妹がいる、趣味は……」というように、よりリアルに人物像を設定していく必要があるのです。
このように、ターゲットはより幅広く、ペルソナはより限定的に、ターゲット像を絞り込んでいく役割を持っています。
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ペルソナマーケティングを行うと、ターゲットをより細かく具体的にイメージできるようになるため、具体的には以下のような効果が得られます。
- ユーザー目線のマーケティングを実現できる
- 組織全体でイメージすべきユーザー像が明確になる
ユーザー目線のマーケティングを実現できる
ペルソナをしっかりと設定することで、よりリアルにターゲットの人物像がイメージでき、ユーザー目線でマーケティングが行えるようになります。
たとえば、新しい商品を開発する時やなかなか売れない商品の問題点を考える時には、ペルソナを設定した方が企業側の好みを押し付けることなく、ユーザーの趣味やニーズに合わせた考え方ができるようになるのです。
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マーケティングは一人で行うものではありません。
商品開発部やマーケティング部、営業部が一丸となって、同じ目標に向かっていく必要があります。
しかし、ペルソナによってターゲット像を具体的に決めておけば、マーケティングに関わるすべての人間が同じターゲットを獲得するために、ブレることなく行動できるようになります。
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ペルソナマーケティングでは、以下の7つの手順に沿ってペルソナを設定する必要があります。
ペルソナの設定方法がよく分からないという方は、参考にしてみてください。
ペルソナを設定するには、まず自社製品がどのようなターゲットに必要とされるものなのか、きちんと把握する必要があります。
自社が持つ強みや弱みを知り、どのようなターゲットにアプローチしていくべきなのか考えるのです。
自社分析には「3C分析」が役立ちます。
- Customer(ターゲット市場)
- Competitor(競合他社)
- Company(自社)
3つの関係性を分析することで、自社の立ち位置を客観的に把握することができるのです。
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ターゲットの人物像は、ペルソナほど細かく設定する必要はありません。
自社製品を欲しがってくれるターゲットとはどのような人物なのか、年齢や性別、職業などを中心に考えてみましょう。
ターゲットを絞り込むことで、この先のペルソナ設定が楽になります。
ターゲット像を明確にしたら、今度はペルソナを設定するための項目をどれにするか考えます。
ペルソナを設定する時はなるべく項目を多くした方が効果は高まる傾向にあるので、面倒かもしれませんがなるべく複数の項目を考えましょう。
ペルソナの人物像を構成する項目となり得るのは、以下のような要素です。
- 氏名、年齢などの基本情報
- 家族構成、子供の有無
- 学歴、職歴
- 職業、年収
- 趣味
- 価値観
- ライフスタイル
- インターネットの利用頻度、など
ペルソナを作成するためには、「生きたデータ」が必要になります。
まずは、ターゲットとして選んだ層にアンケートを取ったり、SNSなどを調べてターゲットの情報を集めたりして、「生きたデータ」を集めましょう。
そうすることで、よりリアルなペルソナを作り出すことができます。
データを集めた後は、集めたデータを一つのデータにまとめ整理しましょう。
膨大なデータを整理するのは、容易なことではありません。
データを整理するためのシステムや人材をあらかじめ準備しておくようにしましょう。
ペルソナの設定項目を決めてデータが集まったら、本格的にペルソナを作成していきます。
ペルソナを作成する時は、その人物が本当に生きている人間だと仮定して考えるようにしましょう。
そうすることで、よりリアルに各設定項目をイメージできるようになるからです。
ペルソナを完成させたら、チーム全員で共有しましょう。
全員で同じペルソナを意識することで、ユーザーのニーズに沿った質の高いマーケティングができるようになります。
ペルソナを作成したらそれで終わりというわけではありません。
ペルソナの精度はマーケティングを進めながら何回も見直すことで向上していきます。
ペルソナマーケティングを成功させるための2つの掟
ペルソナマーケティングは、ペルソナをただ作成するだけでは失敗に終わってしまうでしょう。
ペルソナマーケティングを成功させるためには、以下の掟を必ず守る必要があるのです。
1.偏見や好みでペルソナを作成しないこと
ペルソナは生きたデータを元に作成しないと意味がありません。
自分達の主観だけでペルソナを作ってしまうと、作成者の好みや偏見がペルソナに強く反映されてしまい、ペルソナの精度が低くなってしまいます。
常に客観的にペルソナを作成し続けるためにも、偏見や思い込みは捨てるようにしましょう。
2.ペルソナを作りっぱなしにして放置しないこと
最初は効果があったペルソナも、時間が流れるごとにターゲット側の趣味や趣向が変わることで、効果を失っていく可能性があります。
そのため、ペルソナの効果を持続させるためには、ターゲットの調査やデータ収集を常に忘れることなく行い、ペルソナに反映させてブラッシュアップさせていく必要があるのです。
ニーズが移ろいやすいからこそペルソナマーケティングの効果がある
インターネットが普及し、顧客が様々な情報を手にできるようになった現代社会では、顧客のニーズが毎日のように変化します。
しかし、ニーズの変化は毎日のライフスタイルや趣味、職業によってある程度左右されるものです。
そのため、変化しやすい顧客のニーズを探るためには、ペルソナの設定が何よりも重要になります。
ペルソナを基準に世の中の情報を集めることで、ペルソナの背後にいる顧客像をはっきりと認識でき、より効果的なマーケティングができるようになるのです。